文学

Comedy

コメディ映画の大家・森田芳光~写生文的な、余りに写生文的な映画たち~

とある映画の話をしたい。主人公は、鉄道を愛する青年、小町と小玉(新幹線の名前が由来となっている)。双方ともに、休日はもっぱら鉄道に乗って観光を楽しむ、気弱だが優しく、恋愛には奥手の、典型的なオタク気質の若者である。その二人が鉄道を通じて出会...
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宮沢賢治童話村~光の魔術師と会える場所~

ごとごとごとごと、その小さなきれいな汽車は、そらのすすきの風にひるがえる中を、天の川の水や、三角点の青白い微光の中を、どこまでもどこまでもと、走って行くのでした。 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の、前半あたりでの文章である。ジョバンニという少年が...
Culture

漱石山房記念館~『門』が生まれた終焉の地~

早稲田駅を降りて、閑静な住宅街を抜け、なだらかな坂道を下っていくと、左手に、大きな近代的な建物が見えてくる。一部がガラス張りとなっており、内部に昔の日本家屋が再現されているのが外から伺える。 これは、日本文学の巨匠、夏目漱石が晩年を過ごした...
Culture

『竹取物語』と『アフター・ヤン』・比較文化論

平安時代前期に成立した、日本最古の物語『竹取物語』と、2021年にアメリカ合衆国で製作されたSF映画『アフター・ヤン』。 これまで、私の知る限り、古今東西を大きく隔てたこの二作を紐づけた人間は、おそらく誰一人としていない。数年前劇場で『アフ...
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三島由紀夫文学館~浮世を離れた湖の畔で、憂国の士の生涯を知ろう~

新宿から電車を乗り継ぐこと二時間ほど。山梨県の富士山駅で降りる。その名の通り、ホームに降り立った瞬間、荘厳な富士の山が目に飛び込んでくる。観光客も多く、富士山にちなんだお土産屋、飲食店が立ち並び、辺り一帯が、日本が誇る活火山をこれでもかと宣...
Culture

宮沢賢治~童話作家で宗教家!?二つの顔を併せ持つ、日本童話の異端児~

この宮沢賢治を理解できれば、【日本】という国を深く知る大きな一歩となるに違いない。独特な四季を持ち、仏教と神道の空気を擁しつつ、西洋化の波に足搔く島国。今回のブログが、そんな日本人が愛してやまない宮沢賢治の指南書となっていれば幸いである。
Culture

恐山~日本三大霊山でイタコの降霊が見られる!?死者に最も近い場所~

恐山(おそれざん、おそれやま)とは、青森県の中央部に位置する活火山である。山のカルデラ(火山の活動によってできた大きな凹地のこと)には宇曽利山湖という広大な湖があり、その湖畔に、恐山菩提寺という寺院が存在する。 日本人が恐山と聞いて連想する...
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神戸が生んだ世界的作家・村上春樹~国境を越えた文体の謎と北野異人館街~

2023年10月5日、ノーベル文学賞の受賞者が発表された。かれこれ20年近く受賞を噂される村上は今回も受賞を逃し、速報でこれを知ったハルキスト(村上文学ファンの俗称)らは、世界同時多発的に肩を落とした。夏が終わり秋の訪れとともに高まる高揚感...
Culture

「美」の宿命/金閣寺と三島由紀夫~金色の寺院は焼かれ、男はボディビルをする~

京都の超人気スポット金閣寺。「2023 トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベスト アクティビティ」では堂々の二位。金箔に覆われたその豪華絢爛な舎利殿は、その美しさで訪れる者を圧倒する。日本人としても、修学旅行の際は必ずと言っていいほど...