渋谷の中心で、昭和元年へタイムスリップ!名曲喫茶ライオンで、極上スピーカーから流れる爆音クラシックを聴こう!

Local's food

渋谷駅に降り立ち、円山町にあるユーロスペースで映画を観ようと、道玄坂を登る。映画鑑賞の前に、眠気覚ましにコーヒーを一杯飲みたいと思う。大衆居酒屋や風俗案内所がひしめく小道に入り、客引きの声を振り払いながらしばらく歩くと、「まさかこんなところにこんなお店が」といったような感じで、そのお店はひっそりと佇んでいる。

名曲喫茶ライオン。昭和元年から人々の心の拠り所として在り続け、その瀟洒な外観と扉から漏れ聞こえるクラシック音楽は、今でも街角の人々をタイムスリップの旅へと誘う。

今回は、そんな歴史的な喫茶店を、その成り立ちから、個性的な内装、自慢のステレオなどを一気に紹介していこうと思う。

名曲喫茶ライオンの歴史

およそ100年ほど前、東京の中でも「渋谷は田舎」だったことをご存知だろうか。華やかな中心地・ショッピングや観劇の中心といえば銀座や日比谷。渋谷という街は何もない、ただの田舎だったのだという。現在も残る道玄坂の「百軒店(ひゃっけんだな)」は、その田舎だった渋谷に、銀座や浅草のような場所を作ろうと1924年に西武によって開発されたエリアだ。そして、今も現役で営業している「名曲喫茶ライオン」は大正15年に恵比寿・並木橋で開業。まだ何もない渋谷の百軒店の誘致に答えて移転した、老舗中の老舗である。

以下、公式HPからその歴史を抜粋する。

昭和元年              初代店長 山寺弥之助(当時24歳)が「ライオン」を設立。

外装・内装全てのデザインを自ら手がける。ライオンのコーヒーの味は、ロンドンにあるライオンベーカリー直伝である。

昭和20年          東京大空襲により全焼。

昭和25年          初代と同様のデザインで再建。

昭和30年          山寺店長の義弟であり、2代目店長 石原宗夫(当時30歳)が加わる。

平成2年              山寺弥之助、91歳で永眠。

平成19年          石原宗夫、77歳で永眠。

※現在は初代の義妹である3代目店主・石原圭子さんの息子、山寺直弥さん(61歳)が店長を務めている。

そんなライオンであるが実は今年になって一時、都市開発の一環での閉店が噂されていた。歴史的名店が潰れてしまう、ということでファンの間で流言飛語が回り、とうとうネット上では反対運動まで持ち上がる事態になった。しかし実情は、国としてはあくまでも百軒店界隈のバリアフリー化を進める、といった程度のもので、ライオンのような記念碑的店舗は極力保管するとのことであった。この一連の出来事からも、どれだけ当店が民衆から愛されているかが伝わる。

メニュー・インテリア

◆飲食

・コーヒー(一杯550円)

クラシック音楽を片手に熱くて苦いコーヒーは最高。なにより、席チャージ料などかからず、このお値段である。破格だ…!

・アイス抹茶(620円)

ちゃんと抹茶の味が堪能できる一品。コーヒーが苦手な方に、とても人気な商品だ。

・アイス(620円)

本を読んでいると、甘いものが欲しくなってきてしまうもの。(筆者だけであろうか)

熱いコーヒーを飲んだ後の、ひんやり冷たいバニラアイスは絶品である。

◆インテリア

・吹き抜け

二階建ての当店は吹き抜けの構造となっており、スピーカーからの大音量が建物の隅々にまで届く仕様となっている。

・二階へと続く階段

まるでジブリの世界にでも入り込んだかのような瀟洒な階段。いったい上にはどんな景色が待っているのだろう、という冒険心をくすぐる。

・特徴的な座席配置

音楽鑑賞に特化した店であるため、全ての座席はスピーカーに向かっている。

ちなみ当店、おしゃべりは厳禁である!

・大量のCD・レコード

この中から好きな一枚を選んでかけても良いし、座席から曲だけ伝えてリクエストすることもできる。(ちなみに筆者はサティのジムノペディをリクエストしたことがある。もちろん文句なしに素晴らしかった!)

定時コンサート

ライオンでは、毎日15時と19時に “定時コンサート” と称して、決められたプログラムのクラシック音楽を流す時間がある。注文時に手渡されるプログラムには、「同じ曲でも演奏者がちがうだけで別物だから」 と、楽団から指揮者の名前までていねいな案内が記載されており、まるでコンサートホールへでも来たような気分にさせてくれる。

自慢のスピーカー

初代がパイオニアに特注で作らせたこだわりの3Dサウンドシステムだと言う。

吹き抜けの店内に鎮座するのは3mを超える巨大な木製のスピーカーシステムで、スピーカーユニットは日本製のフォステクスを導入している。またプレーヤーはデノンDP-3000。デノン製品のなかでも評価が高く、高音質を実現する。デザイン性が高い独特の形状。

終わりに

いかがだっただろうか。渋谷の歓楽街に、このようなクラシカルな喫茶店があることに、驚かれた方もいたと思う。もし今後、渋谷に訪れる用がある方は、それが映画の前の眠気覚ましでも、仕事の合間の一休みでも構わない。名曲喫茶ライオンにお立ち寄りすることをお勧めする。渋くて美味しいコーヒーを片手に、クラシック音楽を聴いてタイムスリップしてみよう。またお気に入りの曲がある方はぜひリクエストしてみて、一気に自分の世界に引きこもってしまうことだってできる。(クラシック音楽であればたいていどんな曲でも揃っている)

日常の喧騒を離れたこのお店だからこそ提供できるものが、そこには必ずあるはずである。

・住所・営業情報は下記。

・所在地              東京都渋谷区道玄坂2-19-13

・電話番号 03-3461-6858

(このホームページに関してのお問い合わせはご遠慮ください)

・営業日              年中無休(正月・夏休み有り)年末は12月31日20:00まで

年始1月5日位から営業予定です。

・営業時間          開店 13:00

・閉店 20:00(ラストオーダー 19:30)

※ 駐車場及び駐輪場はありません

◆MAP・アクセス

①渋谷駅を降りたら、道玄坂を目指します。

②そのまま歩くと、右手にカラNET(カラオケ屋)が見えてきます。

③曲がる角は、この「しぶや百軒店」の門の下をくぐります。

門をくぐると、飲食店の他にラブホテルが多くなり雰囲気が変わりますが、気にせず歩きましょう。

④門をくぐると、このように左側に「ライオン」が見えてきます。

出典

◆Harumari TOKYO

渋谷の街で90年余り。「名曲喫茶ライオン」は、令和の時代にも輝き続ける | 名曲喫茶ライオン | Harumari TOKYO
昭和元年から渋谷を見守ってきた「名曲喫茶ライオン」。少しだけ入りづらいけれど、ドアを開けるとそこは異世界だった。タイムトリップして芸術に触れる空間は、次の時代へと続いていく。

◆名曲喫茶ライオン公式HP

info-menu

◆ロケットニュース24

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