ジブリ美術館~大人が迷子になれる場所~

Anime-pligrimage

言わずと知れた、世界的アニメーション制作会社ジブリ。『風の谷のナウシカ』『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』など数々の名作を生み出し、その重厚なタッチと、少年少女の胸躍る大活劇は、何十年にもわたって、世界を席巻してきた。

そして、そんなジブリの代名詞でもある宮崎駿が自らデザインを手がけ、館主も務めた美術館が、東京郊外の三鷹の森の中にひっそりとある。

ジブリの世界観をそのまま反映させたような建物は、観るものをあっという間にファンタジーの世界へと誘ってくれる。丸みを帯びた黄土色の外壁には蔦が這い、ステンドグラスが埋め込まれている。吹き抜けの館内、隠し通路のような抜け穴、螺旋階段小さなミニシアター…

ちなみに、「ジブリ」という言葉は、サハラ砂漠に吹く熱風を意味するイタリア語である。第2次世界大戦中に使用されたイタリアの軍用偵察機の名前でもあり、飛行機マニアの宮崎監督が命名した。日本のアニメーション界に熱風を起こそうという思いを込めたネーミングだそうだ。

そしてその宣言通り、アニメーション界隈のみならず、この世界丸ごとを包み込むような熱風を巻き起こしたわけだが、外ならぬ私も、30歳を超えた今でもなお、その魅力に虜である。砂漠のごとくどこまでも代わり映えのない毎日であるが、時には、砂塵吹き荒らすようなつむじ風を欲してしまうのが大人である。仕事や人間関係で、にっちもさっちもいかなくなった時に、救いを求めるようにしてジブリの映画を観たりしている。

あるいはこの美術館に訪れる大人たちも、そうした単調な毎日から抜け出そうと、わざわざ東京郊外の森の奥深くまで、やってくるのではないだろうか。

だってこの美術館のキャッチコピーは

「迷子になろうよ、いっしょに。」

なのだから。

ジブリ美術館の歴史

三鷹の森ジブリ美術館(みたかのもりジブリびじゅつかん)は、東京都三鷹市の井の頭恩賜公園西園内にある、三鷹市立のアニメーション美術館である。宮崎駿が発案し、2001年に開館した。名称のとおりジブリ関連の展示品を多数収蔵・公開している。建物自体も宮崎駿による断面スケッチを元にデザインされた。美術館の運営および館内で上映する短編映画もジブリが制作している。

館内案内

  • わぁ、トトロが受付にすわっている!

吉祥寺通り沿いに三鷹の森を歩いていると、やさしい風合いの建物が出現。そばには「三鷹の森ジブリ美術館」の看板が立っている。看板の前に到着すると、巨大なトトロが受付でお出迎え。通り過ぎれば、井の頭公園の森の木々に埋もれた地上2階、地下1階建ての建物が見えてくる。

この、ちょっと変わった建物こそが「三鷹の森ジブリ美術館」。正面の白い建物が本当の入口。扉をあければそこはもう不思議の世界。窓やランプには、ジブリのキャラクターやすてきなお花、かわいい動物の絵が描かれた色とりどりのステンドグラスがはめ込まれている。

太陽の光を受けて、ステンドグラスの鮮やかな色が、床にもこぼれる。

  • ようこそ、不思議空間へ

天井を見上げれば、一面にフレスコ画が。目を凝らせば、ほうきに乗ったキキとジジやメーヴェに乗ったナウシカの姿も。他にも、たくさんのキャラクター達が天井を舞っている。

そこから地下へ降りていくのだが、その途中にも、キャラクターが描かれたステンドグラスがあるので、要チェックだ!!

  • 風が吹きぬけ 光が射し込む中央ホール

地下1階から地上2階までの吹き抜けとなった大空間。

天井のガラスのドームには、海を泳ぐ黄色いクジラや、妹たちと泳ぐポニョが描かれ、大きな天井扇が回っている。階段や廊下の手すりには、取れそうで取れないガラス玉が陽の光を浴びて輝いている。地下1階から全体を見渡すと、螺旋階段や空中廊下、張り出したテラスなどが、まるで迷路のような空間を作り出している。宮崎駿監督の映画に出てくる建物のような不思議な構造。映画の雰囲気を、あちこちで感じることができる。

  • 普通の美術館とはちょっと違います。

常設展示室「映画の生まれる場所(ところ)」は、5つの小部屋で構成されている。さっきまで、この机で誰かが何かを描いていたかのような雰囲気である。部屋の中には、本やガラス玉やたくさんのがらくたたちが転がり、壁には、イラストやスケッチが、隙間もないほどたくさん貼られている。机の上の描きかけの絵や、転がっている鉛筆から、まさに一本の映画の制作が始まろうとしている。小部屋を通り抜けると、ちょっとしたアイデアやひらめきから、悪戦苦闘しながらも一本の映画が完成するまでを、理解してもらえるように構成されている。

  • 初公開!ジブリ・オリジナル短編アニメーション

映像展示室「土星座」

地下1階にある映像展示室「土星座」は、80人ほどが入れる小さな映画館。

スタジオジブリが土星座のためにつくったオリジナル短編アニメーションや、ジブリ美術館がおすすめする良質なアニメーション作品が公開されている。天井には青空が、壁には色とりどりの草花が描かれ、映画が終わると窓が開いて日の光が射し込む設計となっている。

ちょっと小さめの赤いベンチは、もしも、前に座った人が大きかったら、背もたれに座って映画を見られるように作ってある。

  • 屋上のロボット兵は守り神

当館の主とも呼ぶべき、屋上のロボット兵。最上階の外に備え付けられた螺旋階段を上っていくと緑鮮やかな屋上庭園が現れる。約5メートルの立ち姿には迫力がある。

  • カフェの目印は 大きな松の木

カフェ「麦わらぼうし」は、オレンジ色の外壁と赤い窓が印象的な、開放感あふれるお店。

デッキの立派な赤松は、くつろぐ人に心地よい木陰をつくっている。店内の厨房にて心を込めて手作りした、あつあつのカツサンドにホットドッグ、館内観覧の疲れを癒してくれる甘い焼き菓子や飲み物を用意。美術館で過ごした不思議な時間を、カフェ「麦わらぼうし」にて、じっくり噛みしめるのも良いかも。

おわりに

いかがだっただろうか。ジブリの世界を存分に堪能できつつ、美術館としての満足度も高いことがうかがい知れたはずだ。敷地内に足を踏み入れた瞬間、何度か訪れたことのある私でも、まるで初めて来たかのようなワクワク感に胸躍る。年齢は関係ない。今回のブログで、このジブリ美術館が、我々に日常を忘れさせ、ファンタジーの世界へ連れて行ってくれる場所であることが伝わればよいと思う。

そして昨年、最新作『君たちはどう生きるか』が公開された。無論私も、公開初日に駆け付けた人間の一人であるが、タイトル通り、子どもも大人もひっくるめた、人類全員への問いかけをしている作品であるように感じた。

砂漠のような荒野のような社会で独り彷徨うのか、

仲間とともに、楽しい迷子のような生活を送るのか、

それは我々に委ねられている。三鷹の森は、答えに悩む我々の、背中を押してくれる場所でもある。

料金・アクセス

  • 料金

ジブリ美術館は、お客様に美術館をより安全で快適に楽しんでいただくために、日時指定の予約制となっています。

チケットの予約は、ローチケWEBサイト にて受け付けます。(※ジブリ美術館窓口では販売していません。)

入場料金(税込)

大人・大学生

1,000円

高校・中学生

700円

小学生

400円

幼児(4歳以上)

100円

  • アクセス

【電車】

三鷹駅

JR中央線三鷹駅のホームから2階にある改札に上がるには、エレベーターを利用することができます。

また、駅南口には、エレベーターが設置されています。駅南口の公衆トイレには、多目的トイレが設置されています。

【コミュニティバス】

JR中央線三鷹駅南口とジブリ美術館を結ぶコミュニティバスには、車椅子用スペースが1台分あります。

出典

・ジブリ美術館 Wikipedia

三鷹の森ジブリ美術館 - Wikipedia

・ジブリ美術館 公式HP

三鷹の森ジブリ美術館
三鷹の森ジブリ美術館の公式サイトです。『迷子になろうよ、いっしょに。』をキャッチコピーにした不思議な美術館です。入場券は日時指定の予約制。
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